Hold my hand(改) 20





「エッフェル塔ー!!美作さん、写真撮って!」

「自撮りしろよ、牧野・・・ったく、どこのお上りさんだよ。恥ずかしい奴だな」

「あたしは美作さんみたいにまたパリに来られるかわからんないんだから、しっかり写真に残しとかない」

世話焼きのあきらは文句を言いつつもつくしの頼みを聞きカメラマン役をしている。

「司に頼めば悦んでほいほい連れて来てくれるのにな」

「だね」

あきらの気の毒な様子に背を向け総二郎とふたり笑いを堪えた。つくしとあきらを置き去りにしてぶらぶらと先に進む。

「なのはちゃん、連れて来なくてよかったのか?二日も続けて放置してるけど」

「誘ったけど来ないって」

いつもと同じように類の広いベッドで添い寝しながら華奢な身体を抱きしめ、類は一緒に来るようになのはを誘ったが首を横に振った。

「類が牧野ばっか構ってるから仔猫ちゃんは拗ねちまったか」

「・・・」

「なに?図星か?」

総二郎はにやりと嫌な笑いを見せ類の肩を抱くと声をひそめた。

「仔猫ちゃんだと思ってたのに意外に女だったてことか。そうだろ、類?」

「・・・・・」

「何で黙り?それで、類、仔猫ちゃんはお前のなんだ?ほれ、言ってみろ。お兄さんに教えてご覧」

「・・・・・預かりもの」

「ふーん」

総二郎はあからさまに納得していないが類はそうとしか言いようがない。

「まあ、いいや。女の扱いに困ったら言えよ。経験豊富なお兄さんがとっておきのアドバイスしてやるからな」

総二郎は類の背をぽんと叩いた。




エッフェル塔に昇ったあと、今度は凱旋門でつくしが写真を撮るのに三人は呆れつつも付き合った。けれど総二郎とあきらは途中で用事が出来たと別れ、つくしと類は休憩にカフェに立ち寄ることにした。

「西門さんと美作さん、突然用事ってなんだろう?まさかデートとか?」

つくしは熱い紅茶をふうふうと冷ましてからカップに口を付けた。

「そうじゃないと思う」

「用事じゃないの?あっ、もしかして、写真撮らせてしまったから?」

「うん、だぶん」

「ほんとうに?美作さんに悪いことしちゃった。次はいつ来られるのか分からないから思い出に写真を撮っておかなきゃって思っちゃうんだよね。後で謝らなきゃ。あ、このケーキかわいい!じゃ、写真を撮って・・・すっごく美味しい!」

一応反省したらしいが、つくしは運ばれて来たケーキの写真を撮り、食べれば笑顔いっぱいになる。相変わらず表情がくるくると変化して見ているだけで楽しい。

「類のケーキも美味しい?」

つくしがじっと見るので類は笑いながら手を付けていないケーキを差し出した。

「食べていいよ」

「いいの?ありがとう。ふたつも食べると太るかな・・・でも日本に帰ったら食べられないもんね」

ひとりでぶつぶつ言いながらケーキを口に運ぶと満面の笑みを浮かべる。

「日本のケーキと違う!すごく美味しい!類はいいなー。いつもこんなにおいしいケーキが食べられて」

「オレ、ケーキ食べないよ」

「そうかもしれないけど。そう言うことじゃなくて・・・ケーキだけじゃなくて、パンもおいしいし、パリっていちいちオシャレだしいいなーってこと」

「そういうもの?住んでると日本と変わらないけど。それに司に頼めばいつでも連れて来てくれるよ」

にこにことケーキを平らげることに集中していたつくしが一瞬顔を上げたがすぐにまた視線をケーキに戻した。

「司、いつ来るか連絡あった?」

なぜかつくしは首を横に振るだけで何も答えなかった。
カフェを出たところであきらたちから待ち合わせしようと連絡があり、まだ時間があるので待ち合わせ場所まで歩くことにした。つくしはカフェでは様子がおかしかったがいまは楽しそうに店のショーウィンドウを覗いている。
夕刻になり往来のひとが増え、つくしがすれ違い様に人とぶつかりそうになった。類は立ち止りつくしに手を差し伸べた。 
「あぶないから」

つくしが驚いたように大きな目で見上げてから、類の手の上に自分の手を重ねた。類は言葉少なつくしの歩調を合わせ歩く。

「NYでも手を繋いで歩いたよね」

唐突につくしが口を開いた。類はつくしを振り返ったけれど俯いていて表情は見えなかった。

「うん」

まだ二年ほどしか経っていないはずなのに、それはもう遠い昔の出来事だった。
ここはあの凍えるような街ではない。言葉も違う歴史ある芸術の都。季節はいくつも過ぎ去り、いまは新緑の季節を迎えている。それに———
ここには類だけに向けられる微笑みがある。それを思い起こす度に類の胸は自然とあたたかくなった。

そのとき握られた手に力が込められたことにも、見上げている大きな瞳が潤んでいることにも、類はまったく気がつかなかった。






類となのははベッドを共にしていますが、何にもありません。ただなのはちゃんが添い寝をしてもらっているだけ。
総優も大好きだけど、このふたりも好き。

W杯が始まりましたね。素人サッカーファンとしてはオリンピックより気分が盛り上がります。日本だけじゃなくて外国チーム同士のゲームも観ます。以前は南米の個人技がすごい!と感動していましたが今はどのプレイヤーもすごいですね〜!なにげにキーパーのプレイもカッコいいなと思うこのごろです。


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過保護の理由 (下の二)




車を待たせておき総二郎は倫がはぐれないように手を繋ぐ。

「ママはどこ?」

倫がキョロキョロと辺りを見回す。倫には馴染みのない雑多の人混みに面食らっているのだろう。

「すごい人だね。どうしてママはこんなところにいるの?ママは迷子になってない?パパ、ママはいた?」

倫の矢継ぎ早の質問に子供特有の柔らかな黒髪を撫でてやる。

「もうちょっと先にいるよ」

「もう、ママ、デパートで待ってればいいのに。ひとりで行っちゃいけませんなのにね?」

いつも自分が注意されている言葉を使い口をへの字にした倫は不服そうに言う。倫は倫なりに総二郎と同じように優紀を案じている。優紀は息子にまで心配されているのだ。

総二郎は倫より先に優紀を見つけた。
はっとするほど愛らしく、そして触れることも躊躇うほど清らかで初々しい。少々もの馴れない、あどけない雰囲気が否めないのは総二郎が掌中の珠とばかりに愛し甘やかし囲い込んでいるためかなと思わないでもない。
何か答えているらしい優紀の頬が赤くなりはにかむように微笑んだ。そういう顔をオレ以外の前でするとかアウトだ。その前に男に声を掛けられて答えている時点でどうかしている。無自覚で防衛能力など皆無に等しいのだから総二郎の目の届かないところなど言語道断なのだ。
優紀の優しく真面目で素直な質は家元夫人はもちろん邸の者たちすべてから愛され、西門のお偉方にも大層可愛がられている。優紀は意外にも人たらしなんだと、総二郎は思っていた。けれど、優紀の人たらしはそれだけではなかった。
優紀のたおやかな有り様やあどけない微笑みを総二郎の嫁と知る者も知らない者も好意とはき違えるものが後を絶たず、優紀をひどく驚かせ総二郎のもとに逃げ込む始末だった。こんなことが何度も起こるのだから総二郎が目を離せるわけもなく、過保護と言われようとも守り甘やかさずにはいられないのだ。

「倫、優紀がいる」

総二郎が優紀の場所を指し示すと「ママ」と声を上げ駆けより抱きついた。



テレビ局の人間だか何か知らないがにべもなく優紀を取り戻し、エスコートをする、ママを愛してるなどど生意気な口をきく倫をあしらい優紀の肩を抱き寄せた。
『誰にも、倫にも渡さない。優紀はオレだけのものだよ』と耳元で囁くと瞳を潤ませ頬を染める。そんな顔を誰にも見せたくない。総二郎は頬を撫でそれを隠した。そんなかわいい顔はオレにだけ見せればいい。
優紀の腰を引き寄せると納まりよくぴったりと馴染む。
総二郎は愛らしく微笑むかわいい妻を見ながら、もうひとつの妻の顔も自分だけのものだと細い腰をぎゅっと抱き寄せた。



<了>







終わりました。良かった終われて・・・。書いているうちにいろいろ思って、別なお話しに変わりそうだったので本筋に戻りました。新しいお話しの着想なども見つかり、もっと総優を書きたくなってしまった。ほんと性懲りもないです(笑)
a love so brand new を続けたいと思います。こちらはまだ本筋にも入っていないのでwww 二十話越えてまだ本筋に入っていないって・・・

いつも身にあまる拍手やコメをありがとうございます。とても感謝しております。拙作ではございますが、一緒に楽しんでいただけると嬉しいです。これからもどうぞよろしくお願いします。


過保護の理由 (下の一)





「パパ、ママはどうしたの?」

倫は総二郎の迎えにあからさまに不満顔をしている。

「優紀は松岡のおばあちゃんと買い物に行ってる。今から迎えに行くんだ」

「ママは松岡のおばあちゃんとお買い物に行ったの?いいなー、ぼくが一緒に行ってあげたら、ママにかわいいお洋服を選んであげたのに。」

総二郎は並んで座る小さな息子をちらりと見た。不満そうに頬を膨らませているの姿は子供らしいが言っていることが自分に似ている。ちょっと面白くない。

「パパ、お買い物には慶ちゃんが付いて行ってるの?」

慶太郎は西門の弟子でもあるが総二郎の私設秘書のような役割もしているので優紀付きの使用人と一緒に供をすることもある。

「今日は誰も供をしてないよ」

めずらしく優紀からお願いがあると強請られた。松岡の母が供や警備がいると緊張してしまうというので、総二郎は快く警備を付けないことを了承した。

「えっ、だれも一緒じゃないの?だめだよ!パパはママが心配じゃないの?!ママはとってもかわいいんだから、ひとりでお出かけなんてダメだよ!!絶対ダメ!」

倫が興奮気味で喰ってかかってくるので総二郎は笑い堪えなければならなかった。
総二郎が優紀を警備もつけずにひとり外出させるはずもない。表向きは理解ある夫の顔をし優紀の願いを受け入れただけだった。結局はいつもより大人数の警備を付け、デパートにも連絡を入れさせていた。デパートでも大掛かりな警備強化をし、外商が神経をすり減らしていることは総二郎も知らない。

「ママはかわいいか?」

「すっごくかわいいよ!櫻子ちゃんも滋ちゃんもかわいいけど、あっ、つくしちゃんもかわいいけど、ママが一番かわいいよ!」

「倫は見る目があるな」

「うん、慶ちゃんと葵ちゃんにも同じこと言われたよー。慶ちゃんと葵ちゃんもママはすっごくかわいいって言ってたもん!」

「慶太郎と葵が?」

あいつら倫に何を話しているんだかと総二郎は呆れる。

「うん、葵ちゃんも慶ちゃんもね、ママはすっごくかわいいし美人だって。あ、これパパには話さないでって慶ちゃんに言われたんだった。でも、ふたりも見る目があるんだねー」

倫が生意気な口ぶりで笑うのを見ながら、葵と慶太郎はあとで懲らしめておこうと決めた。
優紀が待っている場所まで間もなくというところで警備主任から連絡が入る。テレビ局らしい男たちに声を掛けられ取材を受けているようだがどうすればいいかと指示を求められた。総二郎はこめかみを押さえ大きなため息をついた。

「もう到着する。そのまま監視を続けてくれ。優紀が嫌がったら」

「すぐにお救い致します」



総二郎が最後まで言わずとも承知している。
まったく優紀にも困ったもんだともう一度ため息をついた。







忙しくて続きが書けずに遅くなってしまいました。総優の前に総二郎と倫の短い会話を入れてみました。短いし、おまけみたいなもんです。葵と慶太郎も名前だけじゃなくて登場させたかったのですが長ーくなりそうなのでやめました。次は総優です。


過保護の理由 (中の二)




数日後、僕とカメラマンはふたりで例のVTRをスタッフルームの片隅でPCで観ることにした。
番組には使えないがやっぱり観ておきたいというか忘れられない。最初に彼女が映る。
レンズを通してもやっぱりかわいい!!ちょーかわいい!

「かわいいですね」

「めちゃかわいい。俺、好みだ」

「あ、僕も。スタイルいいっすね」

ふたりでおおいに納得し先を観る。
彼女はかわいいし、ふんわりおっとりしている。それは話し方や表情、仕草のひとつひとつもかわいい。

「まじかわいいな」

「そうですね、かわいい。本当にかわいい」

カメラマンとふたり、かわいいを連呼する。僕たちの貧困なボキャブラリーではかわいいしかない。
子供が続いて現れる。しみじみ美形だ。子供とは思えないほどきれいな顔をしてる。超美形によく似てる。

「この子、美形だよな。俺、最近SNSで『世界一きれいな男の子』っていうのを見たけど、この子のほうが絶対きれいだよ」

「だって父親があの超美形ですからね、さもありなんですよ」

「超絶美形だ。モデルや俳優よりカッコいいな。それに、この迫力なに?いったい何者?」

「さあ・・・おお、これ、これ、気障ですよね?ありえないくらい気障!!」

かわいい彼女の赤くなった頬を撫でるシーン。いや、いや、いや、いや、ドラマじゃないんだからと突っ込むが似合ってる・・・

「・・・・・でも様になってるよ」

カメラマンは超美形に見蕩れている。
確かに男が見てもきれいだ・・・で、彼女、もしかしたら奥さんはちょーかわいい。世の中ってひどい・・・

「あー!西門総二郎!!何、これどうしたの?!」

後ろからの大きな声に僕とカメラマンが驚いて振り返ったときには、あちこちから「西門総二郎ですって!!」「あのイケメン?!」「F4の西門総二郎なの?!!」「見せて!!」「観たい!」と声が上がりあっという間にひとが集まってきた。

「これって、F4の西門総二郎ですか?!あの西門流の次期家元の?」

「そうよ、分からなかったの?」

「分かりませんよ。まったく気がつきませんでした」

カメラマンも頷いた。F4で西門流次期家元、あの、西門総二郎。
あの一般人とは段違いの雰囲気や迫力に納得する。テレビや雑誌で観るときは着物を着ているのことも多いし、社交的で理知的な文化人という印象だ。決して震え上がるようなオーラも息が止まるブリザードも出してない。落差は激しいが、確かにどちらも超美形だね・・・

「ねー、ねー、こっちて奥さんと子供なの?」

映像は進みかわいい彼女と次期家元によく似た男の子が映っている。

「そうだと思いますけど・・・彼女、若いから本当の母親じゃないかも」

「えー、そんなことないって。西門総二郎は愛妻家で有名だし、結婚は一度だけのはずだよ」

「そうですか?彼女、めっちゃ若いですよ。この子の母親って年齢じゃないですよ」

「離婚はしてないから、最初の奥さんのはずだよ」

芸能関係に強いスタッフが口を挟む。
え、まじ?母親?いくつで産んだの?超美形、ロリコンか?!かわいいから、フラフラその気になったのか?犯罪だろ、犯罪!!彼女、無理やり嫁にされたのか!かわいそー!!!くそ—————、僕が先に出会ってたら!!くそーーー!

「あの遊び人の西門総二郎が浮き名を返上して一途に惚れ込んだって結婚当時は報道されてたけど、奥さんって見たことないよね?」

「茶会や宗家の稽古では見かけることもあるらしいよ。でも公の場所とかマスコミの前には一切出さないんだよね」

あ、分かる気がする・・・・・僕、思い切り『触るな』って言われた。命あってよかったなー

「奥さんって二十四、五歳だっけ?わかーい!」

「二十四歳?!」

僕は素っ頓狂な声を上げた。
いやいや嘘だろー!高校生って言われてもおかしくなかったよ。お肌つやっつやっだっただったよ。

「西門総二郎よりひとつ下だったから二十七歳じゃない?高校生のときからの付き合いだっていってたよね。それにしても、かわいい!二十七には見えない!」

「二十七歳!!」

僕はカメラマンと顔を見合わせた。
いやいやまさか・・・まじ?マジで?僕たちより年上?超美形、羨ましすぎだー!!高校生の彼女とか、どんだけかわいかったんだよー!見たかったーーー!
みんなでわいわいと興奮気味に話しているところで上司に例の全てのデーターを持参するようにと呼び出された。




僕とカメラマンはそれぞれ手にしている分厚い封筒の中身をそっと確認した。
あ、帯封つきのお金ってはじめて見た・・・札束っていうの、これ?
カメラマンと微妙な笑いを交す。

「俺たちってクビじゃないよな?」

「うん、そうみたいだね。一応褒められたし、スクープ級だって・・・・・絶対放送できないし、見たことぜんぶ忘れろって」

上司のもとに行くとすぐに社長室に連行された。社長室に行くのも社長と話すのも初めてだった。社長はスクープだ、よくやったと言葉とは裏腹に引き攣った顔で褒めてくれた。だけど残念ながら放送は出来ない。データはこちらで処理をするから全て提出するようにと言われた。僕たちは一切反抗せずデータを引き渡した。何度も他には持っていないか、隠していないかとしつこく尋ねられたが僕もカメラマンも仕事も命も大切だからきれいさっぱり引き渡した。その代償がこの分厚い封筒。これは口止め料。出所はたぶん、いや絶対に・・・・最後にこのことは他言無用、一切忘れるようにと念を押された。
スタッフルームに戻ると何事もなかったように皆が仕事に向かっていた。もちろん誰ひとり、二度と例の話しをすることはなかった。



その後、僕とカメラマンは再びエラいことをしてしまう。
空港で『おかえりなさい!世界のどこで何してきたの?』という帰国した一般人に面白エピソードを聞く取材をしていて、パリから帰国したという美少女に声を掛けた。ピアノを弾くのが好きという話しを聞いたところでスーツを着た男性が大慌てで飛んできて美少女を風のように連れ去ってしまった。僕とカメラマンは美少女だったのにとしきりにぼやいた。
その数日後、僕たちは再び分厚い封筒を社長から手渡された。社長はどこか悪いのかげっそりとして、白髪の頭は先回にあったときよりずっと薄くなっていた。
あの美少女は花沢物産副社長、F4の花沢類氏の秘蔵の愛妻だった・・・


そして僕たちふたりは『大スクープコンビ(空砲)』と呼ばれることになった。







モブさんの活躍はここまで。ようやく総優+倫にたどり着けます。残り一話かな?・・・たぶんwww。なんと言っても終わります詐欺なので・・・へへへっ
よろしくお願いします♪


過保護の理由 (中の一)





彼女に抱きついている子供が振り返り、この大勢のひとにも注目にもたじろくこともなくにっこりと笑顔を見せた。

「パパ!」

パパ!?父親?かわいい彼女の夫?!しかも、きれいな男の子と似てるし!!
僕は振り向き息を呑み、震えが止まらなくなった。
視界の端に見えていた大勢の人ひとより何倍も多い数のひとが取り巻き、そのひと全てがこちらを見ている。
その真ん中には大勢の注目を一身に浴びている長身の男性が腕を組み立っていた。
超美形だ!!!見たことがないほどの美形!
仕事柄、俳優や芸能人、モデルなど容姿の秀でたひとを見てきたが、そんなもの足下にも及ばないほどひと際美形なうえ、纏う雰囲気も段違い。
いったい誰、このひと?!

「何が秘密だ」

僕はびくりと飛び上がった。
再び同じ言葉が投げ掛けられたが先ほどよりずっと声が低く、なぜか凄みが増してる。
もしかして僕たちに質問してますか?と盛大に動揺してカメラマンを見るとレンズを覗く振りをしてちらりともこちらを見ようとしない。どうする、僕!!!

「あのね、パパ、ママがね、知らないひととお話しをしてたの」

動揺しまくりの僕など眼中にないとばかり、男の子は悪びれた様子もなく応えた。すると超美形は眉間に皺を寄せ額にかかっていた髪をかきあげる。

「あっ、そ、その・・・倫、秘密って言ったのに・・・もう・・・」

かわいい彼女が困り果てたように超美形を見つめる。僕も釣られて振り返った。
ん?さっきと超美形の表情が違う?
彼女の大きな目が上目遣いで注がれ、超美形は目を細めため息をつく。
超美形、ため息つく姿も超美形じゃん!それにしても、その上目遣いかわい過ぎるだろ!超美形さえ黙らすなんて、すげー破壊力だ!

「倫、優紀を連れてこい」

「はい。ママ、パパが呼んでる」

「あ、うん・・・」

男の子が立ち上がった彼女の手を握る。
行ってしまう!話しを聞きたい!!一体あなたたち何者ですかーー???!!!

「あ、あの、待ってください。もうちょっとお話しを聞かせ」

僕は慌てて彼女を引き止めようと彼女の腕に触れた。
おー、細い!すべすべだ!!それにいい匂いがする!!

「オレのもんに無断で触るな」

ひっ!
静かな声だが震えが来るほどの氷点下のブリザードに息が止まる!

「あの、ごめんなさい。わたし、急がないと・・・ごめんなさい」

彼女は超美形から醸し出されるブリザードに気がつかないのか、躊躇いがちな微笑とともに軽く頭を下げる。
躊躇いがちな微笑みとかすごく好みでかわいいのですが、あなた、超美形を怒らせてる自覚ありますか?!
僕は顔を引き攣らせ勢いよく頭を下げた。

「ママ、早く。パパが待ってる」

かわいい彼女は男の子に大切に手を引かれ超美形のもとに届けられる。

「よく出来た、倫」

「はい、パパ。パパ、あのね、ぼくがママを車までエスコートするね」

男の子は自信満々に宣言したというのに、超美形に軽々と抱き上げられた。

「倫には優紀のエスコートをするのは十年、いや二十年早いな」

「どうして?!ぼくもママを守れるよ!ぼくはママを愛してるんだから!」

「そうかー、でも残念だな。倫には何でもやるけど優紀だけはやらない」

男の子は頬をぷっくりと膨らませて超美形を睨む。超美形は面白そうに笑いを浮かべると、空いた手で彼女の肩を引き寄せ耳元で何かを囁いたように見えた。彼女の頬が紅を掃いたように朱に染まるとその頬を超美形が撫でる。
気障!気障すぎる!それなのに、そんな仕草も超美形は似合ってしまうとは、許せーーーん!!!
超美形は男の子を片手で抱き、もう片方を彼女のくびれた腰に手を廻した。
めちゃ細い!何それ?やっぱり子供は連れ子じゃないの?!出産とかしてないよね、それ?!!
疑問の渦と化した脳内のせいでぼんやりと眺めるしかない僕たちを超美形は一瞥することなく背を向け置き去りにした。
取り巻いていた大勢もその後を追うように流れて行く。
長身の超美形に抱き上げられた男の子がこちらを見て超美形と同じきれいな笑顔で手を振るのが見えた。
僕も手を振り返し、見えなくなっても手を降り続けていた。

「誰、あれ?」

「ああ、そうだな・・・わからない・・・」

「なんか疲れたな・・・」

「そうだな・・・帰るか・・・・」

僕とカメラマンは疲れ果てやる気を失くしあとは何とかなるだろうと帰社することにした。






また終わらない・・・。いつものことながらまた終われませんでした(笑)次で終わります予想、当たったことがないですwww 詐欺のようで、本当に申し訳ありません。「終わります詐欺」になってますが、いつも本当に次で終わりと思っているんです。書いているうちに書き足したりして長くなってしまう。実はこれもすごく長くなってしまったから二話文にわけました。あと総優と倫の会話をもう少し書きたいなと思っているので、もう一話入れる予定です。またかとお思いでしょうが、お付き合いいただけると嬉しいです。

プロフィール

紫木蓮

Author:紫木蓮
琳派と文学に気ままに魅かれています。
こちらではだいすきな花男の二次を置いています。
類さんと総二郎優紀カップルの偏りがちなラインナップ予定です。

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