precious 20




総二郎はあきらに後を頼み渡米しなければならなかった。

本来ならば自分が直接優紀を探したいところだったが西門が関わっているか否かがはっきりしない今はあきらが言う通り総二郎が表立つことは得策ではなかった。

日本にいても自分が何もできない不甲斐なさに気持ちが滅入る。

優紀がひとりきりではないか、寂しがってはいないか、困ってはいないかと気が揉め、それでも仕事に追いまくれられ呆然とする時間もないと反対に頭が冴える。

優紀と過ごした時間を思い起こし、いなくなってしまった原因がどこかにないだろうかと探すが作業を繰り返した。

何度繰り返しても原因と思われるものはなく、そうなれば優紀のかわいらしい笑顔と声ばかりが浮かび上がり胸が痛む。

腕の中で眠る小さなぬくもりと甘い香り。

いまは空っぽの腕の中が寒々しく、自分がどれほどがそれに癒され求めているのか明らかだった。



F4のなかでも社交界で顔が広く、人気が高いのは日本でも海外でも総二郎だった。

それは総二郎というより西門流がということで、その社交界のつながりが西門流に最も重要なことを総二郎自身よく認識しているので招待されれば厳選するとはいえ出席しなければならない。

それは総二郎だけでなく家元や家元夫人も同様で、その日も元政府高官主催の昼食会に家元と出席していた。

昼食会を終え良好な親子関係をアピールするように車に同乗させられたが、ふたりでするのは仕事の話しかない。

ひと通り話しを終えると家元の視線を感じ、総二郎はあからさまに不機嫌な態度を見せた。

「なんですか?何かおかしいところでもありますか?」

「いや、ひどい顔をしているなと思って」

そう言い、家元が面白そうに見る。

「・・・何ですか急に。お気に触るような顔でもないと思いますけど」

「そうだな。見方によればいい顔をしているとも言える」

総二郎は家元が何を言っているのかわからず眉間に皺を寄せた。

「おっしゃる意味がまったくわかりません」

「そうか?お前は意外に顔に出やすいということだ」

総二郎はむっとしたがこれ以上意味の分からない話しを続けるのを止め口を閉じた。

車がホテルの近くにさしかかると家元がまた仕事の話を始め、総二郎は黙って聞いていた。

「それでだが、お前の見合い相手のことだが」

総二郎はすっかり見合いのことを失念していた。

「あ・・・それは・・・・」

総二郎は結婚が自分のものではなく西門流のものだと嫌というほど理解しており、取りやめて欲しいなどと軽々しく発言できるはずもなかった。

それでもこのまま進んでいくのが躊躇われた。

「育ちもいいので、おおらかなお嬢さんかと思っていたが、そうでもないらしい」

総二郎が物言いたげに見ているというのに、家元は前を向いたまま話しを続けた。

「ひとを使ってあちこち手を廻していると耳打ちするものがあってね・・・気をつけないとお友達からいらぬ恨みを買うかもしれん」

思いも寄らぬことを聞き総二郎は耳を疑い、あの静に似た美しい女の艶やかな微笑みが浮かんできた。

「家元夫人になろうとするなら、人品卑しからずなど当然のことだというのに、いまのお嬢さんはまったく困ったものだね」

家元は総二郎に同意を求めるように視線を送った。

「あ・・・・そうですね・・・・・」

総二郎は家元の言葉に戸惑いながら、まったく真意がわからず返事を濁した。

「着いたようだな。では、仕事はしっかりとするように。困ったことがあれば連絡をしなさい」

「はい・・・」

総二郎は訝しく感じながらも返事をし降りる家元を車中から見送った。

家元の真意がわからないうえ、困ったことあれば連絡しろなどと言われたこともなく驚かされた。

「何を考えてるんだ」

総二郎はそう呟き舌打ちした。

突然、何かが繋がった気がした。

『F4の西門総二郎の妻というステータスと西門流家元夫人という地位があれば十分です。それに・・・わたくしは色々とうるさいことも申しませんから安心して下さい』

美しく紅が引かれた唇から吐かれた物わかりの良い言葉が思い出された。





グダグダ総二郎がなぜか「いい」と言っていただけて嬉しいです。
今までの黒王子ぶりがひどかったせいでしょう(笑)
今後の総二郎にご期待ください!←言った通りにならなくなることが多いですwww

拍手、拍手コメをありがとうございます。コメントにはそれぞれお返事させていただいています。
拍手コメにはそれぞれお返事、感謝を申し上げられないようなので、こちらで改めてお礼申し上げます。
拍手コメにお返事を返すことができた方もいらっしゃいましたので、そういうボタンがある方はぜひポチッとしてみてくださいね〜。わたし、怖くないと思いますので(笑)

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Re: 悠〜様

情けないのもいいですか?(笑)
まだ続きそうです!

Re: ゆ〜〜〜ま様

コメ、ありがとうございます。
「ぐたぐだ感にはイラッ」←あはは、失礼しました。素直な感想ありがとうございます!そう思っている方も多いとは思います。
王子様への道のりは長いかもですが、優紀がいるから大丈夫!
これからもよろしくお願いします。

Re: m〜〜〜様

こちらこそありがとうございます。
総二郎と一緒に悩んでいただけたのですね。
優紀のことも心配だし、家元の考えもはっきりしないね、総二郎としてももやもやは続くでしょう。
本当に天候が不安定ですね。この時期の暑さに慣れないのは年のせい?と怯えております(笑)
お互い体調には気をつけましょう!

Re: の〜〜〜様

本当にね〜!ぐだぐだで、今回のお話の総二郎はいいところなし・・・いいところはあきらが持っていってますし(笑)
優紀への想いは本物です。でも・・・次期家元だしね、賢い総二郎が司のように突っ走れるか、はどうかな?とも思います。
プロフィール

紫木蓮

Author:紫木蓮
琳派と文学に気ままに魅かれています。
こちらではだいすきな花男の二次を置いています。
類さんと総二郎優紀カップルの偏りがちなラインナップ予定です。

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